国分寺での所用を済ませ、ふと思い立ち一駅先の西国分寺へ。
何度か近くまで来ていながら、久しく頂いてなかったご主人の蕎麦に会いたくて…
西国分寺駅から大通りの交差する泉町程近く。
梅雨入りした今日は、さめざめとした雨が降り注ぐ昼下がりに、
しっとり素朴な佇まいで、大通りに面しても静かに佇んでいる。
西国分寺 「十割手打ちそば 山泉 さんせん」
扉を開くと、すぐ待っていてくれたように迎えて下さる女将さん。
お昼もどっぷりすぎた2時すぎ、他にお客さんのない静かな店内に通され、
今日もテーブル席に座り、ふっと見渡す店内が、なんだか懐かしい…。
「山口瞳」の書が掛けられた小上がりの席の向こうには、打ち場が見渡せ、
飾り気のないお店は、実直なご主人のお人柄のよう。
すぐに出されたお茶を頂き、今日はもう用事も澄んだので…
横殴りの雨に打たれてきた体がしんしんとして、まずは熱燗をお願いし、
前にぺたぺた貼られた品書きの中から、「とりわさ」を。
しばしして、「とりわさ」と共に、きちんと燗してくれたお酒が目の前に出され、
おずおずと注ぎ、そっと口にすると、ふわりと柔らかい口当たり。
思わずお聞きすると、喜多方のお酒「弥右衛門」というお酒だそうで
後からじわじわとじっくり旨みが広がり、これは美味しい…。
「とりわさ」は、美しいとりささみに三つ葉が盛られ、たっぷりの山葵がうれしいなぁ。
添えて出された醤油をたらりと垂らして、ざっくりと混ぜ頂くと…、
ふっくらとした鶏肉に、山葵に三つ葉、それにちぎり海苔が香ばしく、
これがこの熱燗にとてもよく合う。
しっとりとした雨の昼下がり。
こうして、静かな空間を独り占めして、ゆったりとお酒を口にする、
ん~…、これも又いいなぁ~
…と、ふと、ざらりざらりと奥から音が聞こえ、ふと顔を上げると、
小上がりの奥の打ち場でご主人が蕎麦の実を選別しているよう。
その真剣な姿が何とも言えず、久しぶりに頂く蕎麦への想いが募ってくる。
その音をBGMに、ゆっくりと蕎麦前を楽しんで、そっと開く品書きの蕎麦は…
これこれ、ここはご主人が丁寧に石臼を回し挽いて打たれるすべて「手挽き」。
今日は、初めて頂いた時の感動を思い出し、「むき実手挽き」の「せいろ」を注文。
頼むとすぐ、もり汁の入った猪口に薬味が置かれ、
続いて、年季の入った蒸篭に盛られ、蕎麦が出される。
久しぶりに目のあたりにするこの蕎麦の、この美しさ…
艶々と輝きながらも、力強い切り口に、その一本一本に埋め込まれた蕎麦の粒々。
むき実の透明な欠片に、様々な色合いの粒が浮く姿に、思わず見入ってしまう。
北海道日高の蕎麦とお聞きしながら、手繰り上げると、
自ずから放つ、清々しい香りの後に追ってくる、香ばしい香り。
口に含むとしっとりとした腰を感じ、その後に感じるざらりとした粒の感触。
これがもうたまらなく、噛みしめるとじわじわと広がる蕎麦の味わい。
ああ…、やっぱり、これは美味しい…
そのまましばし手繰り、とろりと濃厚な甘さを控えた汁を、
ほんのちょっと先だけ浸し手繰ると、ぐわんっと蕎麦の風味が増す。
口の中で広がる甘みを感じながら、もう夢中で手繰ってしまう 。
見ていて下さる女将さんの配慮の元、頃合いぴたりと出される蕎麦湯は、
細工なしの、そのままさらさらとした熱々のもの。
これを濃厚もり汁に何度か注ぎ入れ、ゆっくり頂いて余韻に浸っていると…
ふっと暖簾の奥から、ご主人が顔を出して下さり、しばし蕎麦談義。
うれしいな、覚えていて下さったんだ…
あったかく、それでいて蕎麦に対する情熱は人一倍のご主人。
まだまだお話ししたいところに、すっとお客さんがいらっしゃり…
又来ます、と言葉を残してお店を後に。
ご馳走様でした~
やっぱり、ここの蕎麦は美味しい。
毎日でも食べたいなあ、などと思いながら、雨降る中心満たされ駅まで…
でも、女将さんはやっぱり固いなぁ~(^^;
*お品書き
せいろ 700円、田舎そば 800円、天ぷら付せいろ 1,350円、鴨汁とせいろ 1,250円、ごま汁とせいろ、おろしそば、冷きのこそば 950円、焼きなすそば 1,050円、きのこそばセット(そばの芽サラダ、きのこそば、そばくずもち)1,400円、天麩羅そば 1,350円、鴨南蛮 1,250円、きのこそば 950円、かけ 700円、(うどんもあり)
天麩羅もりあわせ 1,250円、穴子の天麩羅 750円、鴨焼き 750円、鴨の燻製、豚角煮 550円、そばの芽サラダ、鶏わさ、お新香、たたきのり、きのこおろし 500円、そばがき 900円、他季節メニュー
エビス小瓶 350円、中瓶 550円、燗酒、弥右衛門 500円、今月の酒 650円

「山泉(さんせん)」
東京都国分寺市西元町2-17-16
042-327-7400
11:30~15:00くらい(そば仕舞)
木・第2水休
禁煙 P2台
2007年12月 4日 「田舎そば」
2007年 8月20日 「とりわさ」に「せいろそば」
2005年 9月21日 ビールで「にがうり」、「せいろそば」
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ご無沙汰しちゃってたから、たから、
すごくすごく残念です。
行ってみます!
ご主人にお会いしたいです。。
ものすごく、ショックです!
すぐ、行ってきます!
お知らせ下さり、本当に本当にありがとうございました。
分からないような、分からないような、
分かりたくないような、分かりたくないような。。。
これは、あれでしょうか、。。。
「諸行無常」
に通じるような。。。
あの。
行きたいけど、行けません。。。
諸行無常、諸行無常、諸行無常。。。
PS.(潮さんには、さほど行きたいとは思わないんですけど...
長年美味しいお蕎麦をありがとうございました。
そうでしたっ、
そうでした…
喜多方は、そうそう、、「ら志久庵」!
今更ながら、じ~んと感動してきちゃっています。
そうなんです、絶対にもう一度足を運びたいと思っていた矢先の、泉岳寺のお店の閉店。
とても残念で、別の場所ででも、又やって欲しいと思っています。
本店、喜多方の方も、改装しているそうだし…
私も気になって仕方ありません。。
でした・・・・。
失礼致しました・・・・。
“弥右衛門”というお酒は、大和川酒造さんで作っているお酒ですよね。
そして、大和川酒造と言ったら、「ら志久庵」ですよ!!
元々は、喜多方にあったお蕎麦屋さんだったんですよね。
しかし、今は泉岳寺にあったお店も閉店されたようで・・・・。
その後、どうなされてるのでしょうか?
私は、泉岳寺のお店では食べた事がないのですが、喜多方で食べた時の美味しさが忘れられません。
その後が、非常に気になります・・・・。
半煮えではないですよ。
「しっとりとした腰」ですもの…。
農家さんから取り寄せる蕎麦を選別して、ヌキ実で挽いていらっしゃります。
詳しいお話はご主人にお聞きになってみては…。
なかなか粗いですよ (。≖ิ‿≖ิ)
でも、確かに蕎麦は旨いっ。
ご主人もにこやかで温和で大好きです。
潮さんのランチにも惹かれますが、山泉さんの蕎麦も魅力いっぱいで…
どうしてこんなに近いのかしら(^^;
やっぱり、相変わらずでした。
途中、お店の前で雨宿りしながら遊んでる下校中の小学生に
「お店やってるからダメ」とぴしゃり、の場面もあり・・・。さすがでした(^^;。
私も久々にいただいた、ご主人の手挽き。
やっぱり、この蕎麦はいいですね。
そばがき、まだ頂いていないです。
ぜひ食べてみたい…。
よしの様もトム臼を♪
そうそう、粒粒がとっても甘くて、芳ばしいんですよね。いいなぁ、私もほしくなってしまいます。<トム臼
狙ったコシなのか?(笑)
その様に打ったのか?
敵情視察ありがとう御座います
2時ごろでも大丈夫だと安心しました。
くりはらの石臼の出どころなので興味がありました。
写真では中?粗い程度のそばに見えますが・・
ヌキミの粗挽きであることは
十二分に 遠征の価値ありと思いまする。
楽しみ楽しみ、、、
でもお蕎麦はおいしいですよねー。
潮さんとどっちにいくか、
いつも迷ってしまいます。
これで「山泉」さんらしさが余計に強まるのかもしれませんね(笑
当店の手挽きせいろ、久しぶりに手繰りたくなりました。
こちらの蕎麦掻きも、確か注文を受けてから石臼で手挽きしてくれます。是非お試しを。
菊谷さんの粗挽き蕎麦掻きのまねをして、当方もやってみました。
トム臼でかなり荒く挽いて、加減を見ながら火に掛ける。
粒々がとっても甘~くなるんですね。気に入りました。
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