まだ昼前。時間も早いので、久しぶりに訪れてみようかなぁ、と、プラチナ通り沿いに建つ、かの有名なお店を思い出す。
思えば、5年ぶりかなあ。
行列ができ、今ひとつ落ち着けなかった印象が残っていて、なんとなく足を向けずにいて・・・。
などと思い出しながら、庭園公園横を通り過ぎ、白金台の信号を左に折れる。
青々とした並木の影が優しく落ち、ぽつりぽつりと素敵なブティックが並ぶ中に、ふいに現れる昭和初期を思わせる古い民家。

ちょこんっと提げられた提灯が、何とも風流な趣きのしっとりとした佇まい。
白金 「手打そば 利庵」
よかった、行列はできてない・・・

使いこまれ、年月を積み重ねられた良さを感じる、格子の扉に、小さな暖簾。
この風情はやっぱりいいなぁ 、と、改めて眺めながら、扉を開く。
一歩踏み入れて、思わずびっくり
ほぼ開店直後の、お昼にはまだちょっとある時間だから・・・と、思ってたのだが、ほぼ満席の賑わった店内。
さすがだ・・・、
と思い立ちすくんでいると、すぐに、花番さんが出てきて下さり、たった一つ空いていた、真ん中の大テーブルの端っこに通され、腰を下ろす。
出してもらったお茶を頂きながら、品書きを吟味。
一通り目を通していると、隣に座っている女性二人の前に玉子焼きが置かれる。
これがとっても美味しそう~
激しく頼んでみたい気持ちにかられたが、お皿にはたっぷり4切れ。
一人ではちょっと多そうだし、時間もあまりないし・・・、
と諦め、久しぶりなのでシンプルに「せいろう」をお願いすることに。
頼むと、程なく。
使い込まれた黒光りした蒸篭に盛られた蕎麦が置かれる。
蕎麦の欠片がまんべんなく散る、角の立った見事な細切り。
手繰り寄せると、しっかりと穀物の深い香ばしい香りが立ちこめる。
口に含むと、歯ごたえのあるしっかりとした心地のいい腰かげん。
噛み締めると、これもふわりと広がる蕎麦の風味。
そうそう、そうだった、こんなにもここの蕎麦は美味しかったんだ・・・、
と思わせる、正当な、そして非常に洗練された美味しい蕎麦。
思わず、旨い・・・と、つぶやいてしまいそうになってしまう。
汁は、しっかりとした濃い目のもの。
やや甘めではあるが、出汁の深みが感じられるもので、これが蕎麦によく合う。
すっかり満足に、あっと言う間に頂いてしまう。
すっと出された蕎麦湯は、優しく白濁したもので、これを注ぎいれ、ゆっくりと頂く。
やっぱり、ここは美味しい。
素直に心からそう思うのだが・・・、やっぱり、なんだか落ち着かないような。
この中途半端な感じがぬぐえない、大テーブルに座っているからなのだろうか、
それとも、この小さなフロアに3人も花番さんがいるというのが、落ち着かなくさせるのだろうか・・・、
時間帯が悪いのだろうか・・・
せっかくの、このしっとりとした和の空間。
ここで、ゆったりと憩えたら、幸せだろうな~・・・
と妄想してしまう。
何はともあれ、美味しいお蕎麦には満足しかり。
ご馳走様でした~
前の人の食べてた、「かきあられ」も美味しそうだったな~
*お品書き
せいろう 800円、田舎 900円、大せいろう 950円、紫蘇切り 1,050円、そばとろ 1,250円、おろし 1,000円、鴨せいろう 1,900円、天せいろう 1,900円、あなご天せいろう 1,800円、かきあられ 1,200円、かけ 800円、花巻 900円、玉子とじ 1,000円、おかめ 1,050円、山かけ 1,150円、天ぷら 1,900円、鴨南蛮 1,900円、角煮南蛮 1,450円、
もずく 550円、板わさ 650円、焼き海苔 500円、わさびいも 700円、じゅんさい 550円、このわた、豚角煮 1,100円、あいやき 1,850円、玉子焼き 800円、天ぷら盛り合わせ 2,650円、そばがき 1,200円、そば寿司 900円、
お酒 650円、ビール 650円、枡酒 700円
「手打そば 利庵」
港区白金台5-17-2
03-3444-1741
11:30~19:30
月曜・火曜定休
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ここの蕎麦は、私も大好きです。
ブログ拝見させて頂きました(^^)
「天あられそば」美味しそう~。
ついつい「せいろ」にしてしまうのですが、これは食べてみたいです。
お料理が増えたとのこと、それもうれしい限り。又立ち寄ってみたいです。
http://trinidad.blog.so-net.ne.jp/2012-11-10
http://trinidad-parallel.blog.so-net.ne.jp/2012-11-11
利庵さんのわらび餅はひそかに定評がありますよね♪
私はまだ食べていないのですが、それは是非、食べてみたくなりました。
コメントありがとうございます。
又、ぜひ、いらして下さい(^^)。
後でこっそり・・・でも、よろしいかしら?
ここに書くのは・・・(^^;
私も時間を外して、又一度伺わなくては・・と思っているのですが、なかなか足が向かなくて・・・(^^;
ハリーさんの文章を読んでいて、いくつもの場面で、そうそう、と頷いている自分がいました。なんとも言えない気持ちを抱え、目黒駅まで戻ったのだろうな・・・、とその気持ちがとてもよく伝わってきます。
そう、蕎麦屋に求めるものは人それぞれ。
私もそうです。
味だけ、ではないんですよね・・・。
もし、できるなら・・・
私の愛している、西のお蕎麦屋さんにも、大阪へ帰られる前に一度足を向けてもらいたいなどと思ってしまいました。
なんだか、ちょっとお会いしたいような気持ちをも・・
感じています。
流石に平日の1時半。席は半分弱しか埋まっていません。大卓の上の献立と壁の短冊を眺めて、ぬる燗に、にしん棒炊きとはりはり醤油漬けを頼みました。にしんは少々甘辛すぎてわたしのくちには合いません。それに棒のように硬くなっています。はりはり漬けは、きざんだ沢庵がきっと只者ではないできなのだけれど、妙に甘ったるいだしかなんかにつけてあって、バランスを悪くしていました。焼穴子南蛮で口を直し、美味しい味を口に、店を出た次第。
ところで、わたしの酒がおわる頃に、奥の四人卓を占めて蕎麦を手繰る二人連れのおとこ。見ると、ドラマやCMでよく見る、渋い中年俳優でした。そうか、場所柄こういう人たちも来る店なんですね。そういえば大卓のわたしの角向いに座るアラサーの男女も、その筋らしいはなしをし、合間に盛んに入る電話でも、やはりその筋らしきおしゃべりをしています。プラチナ通りとか言うんでしょう? そういう場所柄と思わなければならないんでしょうね。
そういう客筋の気分と、それを知って集まる客層、そして、それらに永年のあいだ慣れた店の人たちの感性。こういう混合物がいまのこのお店を作っているんだろうな、と考えながら、目黒駅に向かって歩きました。
いい蕎麦屋、というものに求めることは人それぞれ。他の人たちをとやかく言うことはないのでいいんですが、そういう辺で馴染んでしまう店とそうでない所と、できちゃうんでしょうね。東京でそういう意味で馴染んでしまった店を、大阪へ帰国する前に、ひととおりお別れを言いながら、廻っておきたいものです。
そうなのです・・・。
ハリーさんも感じたことと、同じ空気を、いつもこのお店に感じ、なかなか憩えないのが残念でなりません。
少々高いとはいえ、料理も蕎麦もレベルの高いもの。
でも・・・、何か。。。
ここでゆったりと、寛げる時間をすごすことができたら、最高なんだろうに・・、と思っている私です。
入るとしかし中は九分どおりの埋まりよう。中央の大卓のまた真中に肩をすぼめて座ります。ぬる燗にぬたがすぐ来て、しばらく待って玉子焼が来ました。なかなかによくできた代物です。
さらに二本目のぬる燗と共に蕎麦がきが。これがまた感心するような代物でした。締めを迷って、壁に貼ってあった「焼穴子南蛮」なるものを頼んだのですが、これが素晴らしい。二八のそばも具合がいいし、汁はわたし好みのまったりとした程よい濃さ。そして何より焼き穴子が素晴らしいできでした。ほぼ丸一匹分がちょうど具合よく焼かれて汁に乗っています。全体のバランスが取れた、激賞に値するお料理でした。勘定して、うん?ちょっと高いなあ、と思い、外に出てから見ると、穴子南蛮は2100円くらいします。悔しいほど高いが、我慢するしかない美味しさでした。
この店の気になるのは、落ち着かなさ。もちろん土曜の午後1時半ではしょうがないかもしれませんが、もう少し蕎麦好きにおもねったようなゆるりとした時間の流れる折が欲しいものです。来ている人種と街並みの雰囲気に、なにか危ういものを感じた目黒の蕎麦散歩でした。
私も昔訪れた時に、(名前は知らなかったけど)ギターがあったのを覚えています。
禁煙かどうか・・
伺った時は、誰も吸っている人は見かけなかったのですが、お勘定をする際、灰皿が盛られて置かれていたので・・・
よく分からないですが・・・
改めて納得してしまいました。
でもでもっ、
せっかくだったら、時間をうまくみて・・・
空いているだろう(いつなのかしら~??)時間に行かれるのを、(心から)お勧めします!
毎日店の前を通っていながら、
朝晩は時間が合わず行ったことがないんですよねー。
今度休みの日にでも行ってみまーす。
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