
当初は歩いて向かう予定だったが、少々時間も押してしまったので、駅前からタクシーへ乗り込み、場所を告げ走り出すと、あっと言う間…。
大通りの角に面して、達筆な文字で書かれた看板の掛ったお店に辿りつく。

すっきりとした白壁に、すっと降ろされた緑の暖簾。
夢見てきたお店は、大通り沿いに面して、そこだけ違う空気が流れているかのような、上品で品格ある佇まい。
前橋 「手打そば 浅川」
すでにもう、3年あまり。
ずっと来てみたいと思ったお店をゆっくりと眺め、暖簾をくぐり扉を開く。
入った店内は、窓からの陽光がたっぷりと注ぎ渡り、白木の椅子にテーブルで統一された、すっきりとした気持ちのいい、広々とした一つのフロア。
すでに2時になろうかという時間にも関わらず、何人ものお客さんが寛いでいる。
さすが、人気のお店なんだ…
と、我々は予約しておいた、ゆったりとしたテーブル席に腰を下ろし、改めてほおっと。
すぐに出されたお茶を頂きながら、品書きを手にすると、これも又美しい文字。
こういう美しい文字で書かれた品書きは、見ているだけでも気持ちがいいなぁ~
とめくりながら、まずは蕎麦前を。
ずらりと並んだお酒の品書きもうれしく、中からまだ飲んだことがない、福島の「寿月」の冷おろしをお願いする事に。
すっきりとした優しい香りに、すぅ~っと米の旨みを感じるキレのいいお酒。
これを頂きながら、お料理もあれこれ選んで注文~♪。
いくつか並ぶ品書きの中で、真っ先に目に留まった「赤城鶏の煮こごり」。
ふぐや穴子の煮こごりはよく見るけど、鶏の煮こごりは初めてと、お願いすると…
これがなんて美しい
琥珀色のガラスの中に、しっかりと流し籠められた鶏肉のまるで宝石のよう。
口に含むと、プルンっとした煮こごりはすぐに溶けだし、濃縮な鶏の旨みがじゅわ~っと口に広がる。
よほど質のいい鶏肉を使わないと、こうはできないんだよ、
と友人が教えてくれたこの煮こごり、これだけで十分お酒を頂いてしまいそう 。
そして、お勧めされた、大皿に盛られた「お野菜の揚げだしサラダ」が出される。
レンコンに大根、人参、パプリカ、スナップエンドウ…、一晩出汁に浸すというひと手間かかったお野菜が、さっと揚げられ水菜に彩よく盛られてる。
上には、たっぷりの玉ねぎの微塵切りがトッピングされ、盛りつけも美しい一品。
それぞれ一通りの野菜をとりわけ頂くと、この野菜のどれもが美味しい。
素材ひとつひとつの味わい、甘さ、旨さが引き出され、これは野菜好きにはとってもうれしい。
一人で全部食べたいくらい
続いて、出された「しゃきしゃきとろろ」。
前に置かれた途端、ふわ~っと青海苔の香ばしい磯の香りが立つ。
「わさび芋」か、山芋の千切りを想像していただけに、これも意表を突く一品。
薄くスライスされた山いもに、たっぷりと降りかけられた青のり。
書かれている通り♪、しゃきしゃきっした心地のいい歯ごたえに、山芋独特の風味、それに青海苔が加わって、これはもう間違いない旨さ。
そして、私のリクエストで」お願いした、「湯葉とじ」。
優しくとろみの付いたかき玉仕立ての卵に、トゥルンっとした湯葉がたっぷり 。
湯葉の大豆の風味に、卵のコクが加わり、これは美味しい♪。
すぐに、「九平治」も追加で注文~。
と、創意工夫された美味しいお料理に舌鼓し、友人達との会話を楽しみ…、
これもやっぱり食べておきたいね、と最後に「そばがき」をも。
銘々分けて盛ってくれたお皿の上は、、まるでフレンチの一皿のような美しさ。
もり汁で描かれた美しい模様の上に、ほっこりと盛られた蕎麦掻。
ご主人のセンス溢れた持て成しに、見ただけでうれしくなってしまう。
常陸秋そばで作られた蕎麦掻は、口に含むともっちもち。
噛み締めると、じわ~っと香ばしい蕎麦の風味が豊かに広がってくる。
それに、このさっと引かれた汁が絡まり、これは美味しい。
と、これもゆっくりと頂いていると、他のお客さんも帰られ、ご主人も顔を出して下さり、お話などまで 。
「常陸秋そば」に拘り、それも金砂郷の「海老根武志」さんの蕎麦に拘るご主人。
にこにこと気さくにお話して下さるご主人のお話は楽しく、もっとずっとお話していたい気持ちになってしまいそうなところで…、
そろそろお蕎麦を頂こうと、数量限定の「金砂郷そば」と、「満天せいろ」の二つを頂くことに。
まず出されたのは、石臼挽きした「金砂郷そば」。
蒸篭に二つ山に盛られた蕎麦の、穀物感溢れたその切り口。
一瞬見とれてしまう蕎麦を、2人で分けて頂く。
十割で打たれていながら見事に繋がり、野趣さたけたこの粗挽き。
手繰り上げ見る、その蕎麦の中には、様々な蕎麦の星が散りばめられ、なんて美しい…。
顔を寄せると、香ばしい香りが豊かにふわりと漂い、この香りにうっとり。
口に含むと、やさしくざらつく心地のいい感触。
しっとりとした腰があり、噛み締めた途端に広がる、これも濃い穀物の味わいがじわ~っと広がってくる。
あったかいぬくもり感じるその味わいにすっかり汁などつけるのを忘れ、ひたすら手繰ってしまう。
ああ、これは…美味しいなあ
もちょっと食べたい…などと思っているところに、二枚目の蕎麦、産地ブレンドした「満天そば」が出される。
今日の蕎麦は、五島列島、対馬の蕎麦で打たれたとの事。
蕎麦のルーツである対馬。そこの蕎麦を食べられるとは、これはうれしい・・
と見る蕎麦は、微粉で打たれた繊細な面持ち。
香り風味は、やや穏やかではあるものの、噛み締めると心地のいい粘り感があり、後にじわじわと甘みの広がるもので、これも旨い。
ただ、やはり一枚目の印象が「私には」やっぱり強いかな…。
などと思いながらあっという間に頂いてしまった二つの蕎麦。
…と、ご主人が、
「予約を受けてから、ちょっと面白いもの仕込んであるんですよ(^^)」
と、出して下さった蕎麦、これがすごい!
六つ山に盛られたそれぞれ少しずつ異なる姿の蕎麦。
満天蕎麦を一日置きに熟成されたという、蕎麦の盛り合わせ。
一日熟成もののほんのり緑がかった蕎麦が、6日目の蕎麦に移るに従い、赤っぽい色合いに変わっていく様が、一目瞭然。
これを4人で頂いていると…
1日目から3日目辺りは、ほんのり緑がかった蕎麦の色。
香りも風味も、蕎麦の持つ香ばしさが十分に広がる蕎麦の風味感じる美味しさ。
それが…、この6日目になると、赤みがかった、いかにも熟成したと思わせる、しっとりとしたものを感じる姿に変わってる。
手繰り上げると、だだ茶豆を思わせる甘みのある香り。
噛み締めると、これが途端に違いの分かる、豆系の甘みのある深く濃い味わい。
同じ蕎麦で打った蕎麦が、こんな変化をなす事を改めて目の前にし、本当に蕎麦って面白いなぁ…
としばし感じながら、ご主人を含めて広がる蕎麦談義。
すっかり時がすぎるのを忘れてしまうかのような時間に、
もっともっと話をお聞きしたい、と思う気持ちを振りきりながらも、念願の「浅川」さんのお蕎麦を頂けた事に至福の思いを感じ、皆でお店を後に。
ご馳走様でした~。
又、是非!、訪れたい。
しっかりと、そう心に思いながら、電車に乗り込む。
楽しかったなぁ~…と、満喫し充実した心で座ったら、
もうすっかり夢見ごこち。気持ちよく電車に揺られ、夢の続きを…。
ああ、素敵な一日だったなぁ…。
M様!、そして、T様、Mちゃん、ありがとうございました~
*お品書き
金砂郷せいろ 800円、満天せいろ 650円、辛味せいろ 850円、じゃこおろしせいろ、鶏せいろ 1,050円、天せいろ 1,350円、卵とじ 750円、花巻 850円、かき玉、カレー南蛮 900円、鶏南蛮 950円、力餅 1,050円、天ぷらそば 1,200円など
しゃきしゃきとろろ 400円、湯葉とじ 700円、赤城鶏のふうわり玉子とじ 700円、帆立の籠 750円、天ぷら各種、パリパリ蕎麦サラダ 650円、水菜のじゃこおろしさらだ 650円、そば焼き味噌 450円、赤城鶏の煮こごり 350円、そばの巣づくり 1,500円、金砂郷のそばがき 1,000円
ビール 650円、中屋、喜久酔、九平治、黒龍、梵、風が吹く、松の司、寿月、都美人、鳳凰美田、十四代、泉川など 600円~
「手打そば 浅川」
群馬県前橋市日吉町3-41-12
tel:027-231-7294
11:15~14:30 / 17:30~21:00(LO20:30)
水曜定休 (火曜昼のみ)
禁煙 Pあり
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やっとやっと、行ってきました。
温かく迎えて下さり、本当にうれしかったです。
本当にいいお店ですね~。
早くも私も又訪れたい気持ちでいっぱいです♪
そうそう、今年は合同お祝い、したいですね(^^)マジですよー
「浅川」に行って来たんですね!
浅川のご主人はずっとyukaさんが訪問してくれるのを待っていたので、ずいぶん喜んでいたことでしょうね。
私ももう1年近く行ってないので、そろそろ行きたくなってきました♪
本当に美味しい蕎麦でした。
(私は、金砂郷の蕎麦に一目ぼれ♪)
とっても楽しい一日でした(^^)
コメント、ありがとうございます(^^)。
やっとやっとやっと…、伺えました♪。
思っていた以上にとっても大好きになってしまいました。
ああ、もっと前橋が近ければ~っ。
又、ぜひとも伺いたいと思っています。
あ、私も一人だったら予約してなかったかも~…
これも、タイミングなんですね(^^)。
ここも本当に良かったです。こちらには、是非、車でなくて伺って欲しいです(^^)。
宇都宮?
どこに行かれたのかしら。
それも私には羨ましい~っです。
いつぞやなどは・・「臨時休業」の紙を拝みに行きました・・
まっ、これも運次第ですよね・・
人生すべからく、タイミング
聞こえてきそうだ
♪♪タイミング、タッタッタッタッタッタッ、タイミング、この世で一番肝心なのは・・素敵なタイミング!! ♪♪
七色蕎麦(と勝手に名づけました)は貴重
ですね~。こればっかりは誰でも食べられるものじゃないですからね。さすがyukaさんです。
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