頻繁に行っていたわけではないけれど、
まるで胎内に包まれているかのような安堵感に、
1人で憩うのに、とっておきの場所の一つだった、甲子さん。
ここ何度かは、娘さんが割烹着を纏い、お店に立っていて、
てっきり後を継がれるのかと思っていたら…
晴天の霹靂、
今月末で、お店を閉めれるそう 。
まさかまさか、と思いつつ、
向かった江古田の街に、突如現れる立派な土蔵、
堂々と下ろされた、暖簾の後ろには…
ああ、本当だったんだ…
甲子 「手打そば 甲子」
13時を過ぎた昼下がり、
いつも静かな扉から、珍しく洩れてくる賑やかな談笑。
年配の団体さん一行が、奥のテーブルにずらりと大賑わい。
皆さん、名残惜しくて集まったんだろうなぁ、と見ていると…
「こちらでもいいですか?」
柔らかな笑顔で迎えてくれたのは、
久しぶりにお見かけした女将さん。
温かいお茶に、お決まりの干菓子が置かれ、
早速お願いした、「甲子」(純米吟醸)に、
最後にもう一度食べておきたい、絶品「飛龍頭」。
備前風の、ずしりとした酒器に注がれたお酒に、
お決まりのお通し、「昆布と椎茸の佃煮」。
ゆっくりとお酒を口にしていると、
「お待たせしてしまってすみません」
丁寧に置かれた、「飛龍頭」 。
揚げたて熱々、周りはカリカリっと香ばしく、
ざくっと箸を入れると、中はほろほろとろ~り。
山芋のほのかな粘りに、お豆腐がほろほろ零れ、
しめじがしゃきっと風味良く、
次第に汁にほどけて行くのが又たまらなく…、
ん~、これは唯一無二、素晴らしく美味しい 。
改めて…
この空間で、こうしてほっくり、もうできなくなるなんて、と、
惜しまれてならない
お蕎麦は、このところ、温蕎麦ばかりだったので、
基本の「もりそば」で。
使い込まれた蒸篭に、二段で盛られた蕎麦は、独特の平切り。
切り口から溢れる穀物感に、
むわりと広がる、ふっくらとした香り豊か 。
キシっとしてもちもち。
噛みしめた蕎麦は、とても香ばしく、
じわじわと後から甘みとなって口いっぱいを満たしてく。
ああ…、美味しいなぁ 。
空間だけじゃなく、この蕎麦、好きだったのに。
もっと、これからも、食べたかった・・・。
感慨深く手繰り、
さらさらとした熱々の蕎麦湯を、
色々と思い巡りながら、たっぷりと頂いて・・・・
ご馳走様でした~
「寂しいです…」
席を立ち、女将さんに告げると、
「ありがとうございます、。もう、、、『ご高齢』なもので…」
悟ったような頬笑みが、胸にキュっと切ない。
ああ、又一つ、杉浦さんのお店が消えていく…

手打そば 「甲子」
練馬区栄町6-10
03-3991-0338
12:00~15:00 / 17:30~20:00
火・水曜定休
禁煙
2015年 2月 6日 「大和芋の天ぷら」「なめこそば」
2014年 3月28日 「お新香」に「とろろそば」
2011年 5月16日 絶品「飛龍頭」に「もりそば」
2006年12月 4日 「飛龍頭」に冷酒、「もりそば」
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本当に、一つ、又ひとつ…、
となくなっていくのが、とても寂しいです。
そうやって、時代が過ぎていくのかなあ、
なんて…。
よしのさん、
ほんっとに楽しそう~(^^)。
せめて、お写真だけでも見られれば…
と、妄想に走っております。
そうでしたか、例の「バイブル」の一節でありましたか(笑
それにしても、蕎麦が好きな誰にとっても、「心の銘店」というのが
幾つかあろうと思うのです。そして、そうした自分にとっての珠玉の
一店が櫛の歯の欠けるように落ちて行く...(言い方旧いっすねえ~。
せめてカチューシャの歯が…、位にすべきだったかな?
そんな悔しくももどかしい経験を幾多お持ちではないかと。ユカさんは
もうそういうこと、さぞ一杯おありでしょう。
(漫画の「さの次」の明月庵でしたっけ?あそこは幸せなケースですよ。)
閑話休題。
現在は玄蕎麦を二度挽きするタイプの機械臼挽きで、最近漸く(粉にもよる
んですが)生粉打ちが繋がるようになりました。江戸風だったり、一本麺棒
丸延しだったり、はた角延しだったりと色々遊んでいます。
夏の時期には手挽きにする予定です。はい、余計に暑いですけどね(^_^;)
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