今日こそは、ネットで見つけてちょっと気になっていたお店へ行ってみよう~♪と向かってみる。駅からちょっと遠そうだったので、なかなか足を向けられないでいたけど、まだ昼ちょうど。今からだったら行けそう~・・・
目黒駅から大鳥居神社を突っ切ってさらにさらに。
ええっ?どこまで行けばいいんだろう~、なんてちょっとめげそうになった頃、「油面」交差点角のお花屋さんの壁にやっと、案内の看板が見えてほっと・・。
さらにそこを曲がって路地を歩いていくと、すっかり住宅街に入り込む。は、果たして・・・、ほんとうにあるんだろうか

と、不安になった頃、ふっと目の前に風流な茅葺の門が目に入り、小さく書かれた「手打ち蕎麦」の文字。 ・・・つ、着いた


「普通の民家」を使って・・と書いてあったので、よくある住宅型のお蕎麦屋さんを想像していただけに、この佇まいにちょっとびっくり。

まるで、野の里でふとであった草庵かのような、木々に覆われた静かな佇まい。
目黒 「紫仙庵」
ほお~・・として、入り口に置かれた品書きを見ていると、中から紺地の作務衣を着た、まるで僧?のようなスッした男の人が、いつの間にか現れ、「よかったら、どうぞ・・」との声。
誘われるかのように、中へ。。
おずおずと暖簾をくぐり扉を引くと、入り口すぐのところに打ち場があり、反対側に客室が広がる。
黒光りした板間の和室には大テーブルが置かれ、一寸の乱れもないかのように座布団が並べられた、静寂に満ちた空間。手前には4人がけのテーブル席が2卓のみ。
ほとんど窓からの自然光だけの明かりで、BGMも何もない、空気が落ちてくるような、心底落ち着いた誰もいない店内。
靴を脱いで板間の部屋へ一人で上がるのは、ちょっと躊躇しテーブル席に腰を下ろす。
なんだかちょっと緊張してしまう。
「お飲み物は、お茶でよろしいでしょうか」
と聞かれ、ビールあたりでも・・と思ったが、(品書きに飲み物が書かれてなかったので)とても聞く余裕がなくて、「はい」と。
すぐに出された熱々のお茶さえも違って感じてきてしまいそう。
テーブルに置かれた品書きはシンプルなもの。
「何にいたしましょう」と、先ほどの先ほどのご主人に聞かれ、「お勧めは、やはり『十割せいろ』でしょうか?」と、お聞きすると、一呼吸置いて「はい。」とのこと。では、お願いします」・・・。
緊張しつつも、ぼおっとして待っている中、しみじみと眺める店内はなんて素敵なんだろう。大きく開いた窓からは、野山をも思わせる自然のままの中庭がいっぱいに広がり、柔らかく差し込む穏やかな日差し。しんっと静まった中に、こつこつと振り子時計の音だけが響き渡る、不思議な空間・・。
と、まずは、盆に薬味と蕎麦猪口、蕎麦徳利乗せて出さ我に返る。
手作りのものだろうか・・、
器の一つ一つもとても味わい深い、陶器の器。
そして、薬味の丁寧な施しも流石のもの。
そして・・・、程なく笊に盛られた蕎麦も、目の前に出される。
やや緑がかった中太の蕎麦は、つやつやと輝きなんて美しい面立ち。切り口はすっと立ち、その繋がり、切り幅にもムラのない丹精な蕎麦。
まずは顔を寄せると、ふわり~と爽やかさのある蕎麦の香り。
口に含むと、しっかりとした腰・・・、というか、穀物の弾力とでもいうかのような跳ね返す力を感じてくるもの。滑らかな表面でのど越しもいいのだが、しっかりとかみ締めてしまう。
力強さと穀物のふくよかさを同時にもったような蕎麦は、噛み締めると次第にじわりと、その風味を口に残していく。気付くと無心で食べ進めてしまってる。蕎麦汁は、強調しすぎずきちんと出汁が込められた、辛すぎず、甘すぎずのまろやかなもの。これが又美味しく、蕎麦と絡まることで、お互いを引き立たせているかのよう。
「蕎麦湯です。」と、すっと出された急須の湯桶。
注ぎいれると、これがしっかりと白濁したややとろみのついた、加減のいい蕎麦湯。
ゆっくりと、余韻に浸るかのようにたっぷりと頂く。
時間を忘れそうにゆったりとしていると、別の若い男の人が顔を出し、「お茶のおかわりは如何ですか?」と。ここは、お二人でやっているのかな・・
たっぷり蕎麦湯を頂いていたので、「あ、大丈夫です」と、答えそろそろと席を立つ。
お勘定は、先ほどのご主人が・・。
「お口に合いましたでしょうか」と聞かれ、再び緊張してしまう。このご主人の前に立つと、なんだかひどく自分が小さく感じてしまいそう・・。
「はい、とても・・、美味しくて。。」と感想を述べると、「また、是非いらしてください」と言われて、ちょっとほっとする。
ふと見やると、足元には、「本日の蕎麦 - 福井大野」と書かれた札が。
ゆっくりと、又再びお店を振り返りながら、店を後に・・。
なんだか、不思議な時間だったなぁ~。あんな場所が、東京の都心にあるなんて、と改めて思ってしまう。
今日は、なんだかとても緊張してしまったけど、又是非訪れて、ゆっくりとあの空間に浸ってみたいな・・。ちょっと興味のあるお料理も並んでいたし、蕎麦前を頂いて、寛いでみたい。
大通りに出てふと思い出すと、幻のような・・・
不思議な、午後の、ひととき。
*お品書き
十割せいろ、韃靼蕎麦、すずしろ蕎麦、湯もり蕎麦、そばがき 900円、、自然薯すりおろしせいろ、辛味大根おろし、はんぺん蕎麦、きのこおろし蕎麦 1,400円、鴨汁せいろ 1,500円、
鰊煮 1,000円、さつま揚げ盛り合わせ 1,400円、合鴨牛蒡巻きロースト 900円、板わさ 600円、さしみはんぺん、蕎麦豆腐 500円、蕎麦味噌焼き 450円
「手打蕎麦処 紫仙庵」
目黒区下目黒6-6-3
03-3712-8555
11:45~蕎麦終了まで
夜6時より要予約
月曜定休、火曜蕎麦教室
お店のHP
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私もいつも、楽しみに拝見させて頂いています(^^)。
う、羨ましい…。
蕎麦前もたっぷり楽しまれたんですね。
薩摩揚げ、見るからに美味しそうです。
し、しかも「かけ」まで…。
これは、又伺わなくては、と思ってしまいます。
(これが、歩くんですよね~涙)
「ぶらり途中下車の旅」、楽しみにしています。でも、混んでしまうかしらん…。
とても、美味しかったです。薩摩揚げが驚きでした。自家製ではないそうですが、主プロデュースによるオリジナルとのこと。
2月21日の「ぶらり途中下車の旅」で紹介されるそうです。
私もそうだけど・・、Hosanmさんもすごいですっ。ここまで自転車で・・?
いいお店ですよね~、ここも(^^)。
現実から遠ざかる、禅味あふれた・・
思い出しても、心が静まっていくような思いを感じます。
目黒方面にポタリングして、「紫仙庵」に行って来ました。
念のためにつれづれをチェックすると、ちゃんと訪問済みなんですね。すごいなあ。ここに目黒駅から歩いて行ってしまうなんて、Yukaさんの蕎麦への思いにあらためて感心してしまいます。
いい店でした。
それと、そうそう、私も・・そうだったんです(^^;実は。
あと、えっと、来月くらいだと思います(^^;;;。
こちらが徒歩圏内なんてうらやましい。
川せみといい、こちら、そして小菅さんと目黒も充実していてうらやましいです。
ご主人のストイックな凛々しいお姿、お店の作りのすばらしさ、そしてあの蕎麦。素敵なお店だと思った次第です。
みんちょる様も、どこか素敵なお店を見つけたら、是非、教えてください(^^)
最近、ゆーか様の徒然蕎麦のページを見つけて、すっかりファンになっています。毎日のような昼酒蕎麦屋三昧、うらやましくもあり、どのような方かと創造をたくましくしております。
今日はここも私のテリトリー内なので、是非行かねばと思っていた紫仙庵。川せみに続いて、また家から歩いて行ってきました。
今まで食べた十割蕎麦はもそもそした感じが多かったのですが、ここのは違いますね。本物の蕎麦とはこう言うものかと感激しました。白濁蕎麦湯もそれだけで飲めるほどおいしかったです。
これからも良いお店の情報をすばらしいコメントつきでお願いします。
床の間の仕立てや、一厘活けにされた花もそこからかと、なっとくしていまいました。
こちらは、福井大野に限らず、日によって蕎麦を選び挽かれているそうです。
ちょっと駅から遠いですが、とてもすてきな場所でした。
ぜひ・・
確かご主人はお茶の師匠の息子さんの筈、古いいい佇まいだったでしょう・・・
品書きにも、絞った末の拘りを感じます、福井大野といえば徳兵衛さんと同じですね
綺麗なお蕎麦の見えます、今度ご主人が話したがって居たので寛ぎがてら行って見ます♪
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