
今日はしっかりと場所を確認して…、
忠実にひたすら線路の真下の路地を進むと、商店街の賑わいから離れたほどよく落ち着いた通り沿いに看板が見えて来た…。
商店街の呉服屋さんのご親戚とのことらしく看板の文字はよく似てる。
こんなに近かいというのに、先日はどこを一体歩いていたんだか…などと思いつつお店の前までくると、まだ新しそうな木の匂いが漂ってきそうな、清楚な佇まい。
いい感じだ…


学芸大学 「手打蕎麦 いしおか」
しみじみと暖簾と看板を見つめ、扉を開く。
入るとすぐ、真ん中にガラス張りの打ち場があり、その前に4席ほどのカウンター席。二つに分かれた空間にそれぞれテーブル席があり、どの席もとてもゆったりと配されている。
このカウンターもいいなぁ、と思ったが、先客は一人だけだったので、私も贅沢にこのテーブル席に腰を降ろす。
なんと落ち着く空間なんだろうか。
店内も又、白木で覆われた清潔感漂う、シンプルながらとても上品なしつらえ。
BGMも何もないのだが、全く寂しい感覚はなく、むしろ座っているだけで憩ってしまいそう。
すぐに暖かいお茶とお絞りを出して下さる奥様が、まだお若いとてもきれいな女性…。女であるのに、ちょっとドキドキしちゃいそう、などと思いながらテーブルに置かれた品書きを広げる。
今日はこの後に又ひとつ用事があるから、と思ったが2時間ほど合間があることだし、どうせ時間つぶしをすることになるのなら、この気持ちいいお店でゆっくりしていこうかな、と、お酒の品書きを見るとこちらのお酒は一種のみ。来る道中の暑さを思い出しビール?と迷ったが、クーラーの程よく利いた店内にいたら、外の暑さなどすっかり忘れてしまったので、この「きりんざん(純米)」をお願いする。
お酒は陶器のとっくりに注がれ、きりりと冷やされ口当たりの優しい軽やかな味わい。「お通しに…」と、深めの蕎麦猪口に盛られたのは「鰊漬け」。鰊煮のまったりとしたのとは違い、しっかりと出汁醤油の染みた鰊がいい。
少なめなお料理の品書きから、定番の「焼き味噌」をお願いすると、「よろしかったら…」と、お漬物まで出して下さる。
焼き味噌は、ほんのり甘めの味噌に胡桃などのナッツが混ぜ込まれて焼かれた軽めのものだが、このお酒には相性がいい。
漬物はお聞きすると自家製との額づけとのことで、大根、ニンジンなどに、千切りにされた茗荷が添えられ風味がいい。程よく漬けられたものでこの額づけはなかなかのもの…。漬物好きとしては、これはうれしい。
…と、ゆっくりやっていると、
今度はご主人自ら、「よろしかったら…」と、小鉢に水菜と薄揚げのお浸しを出してくださるではないの 。
このご主人も又、とても素敵な方で、お蕎麦やさんって美男美女が多いなあ~、などと思ってしまう。
お料理の種類は少ないが、これだけ出してもらったら十分過ぎるほど。
しゃきしゃきとした水菜の上品な出汁加減を堪能しながら、気持ちのいい店内ですっかり憩ってしまう。
さて、お蕎麦を…。
「とろろ」の(卵)の文字にちょっと惹かれたが、まずはやはり「せいろ」をお願いする。
程なくして出された「せいろ」は正方形の蒸篭に盛られ、まるで更科のような真っ白な蕎麦。
手繰り寄せると、この切り口が見事な程鮮やかで見ているだけでそそられてくる。よく見ると、かすかに蕎麦のかけらがたまに散り、切り幅にもムラのない凛々しい蕎麦。
口に含むと香りは穏やかなものの、しっかりと受け止めるかのような腰が心地よく、かみ締めるとふわりと甘みが広がっていく。芯の通った蕎麦でありながらたおやかさもあり、この食感は好きなタイプ。粗挽きの野性味のある蕎麦が好きなのだが、この蕎麦もいいなぁ~…
汁は蕎麦に合わせてか、やや薄めでほんのり甘めのもの。だが味醂とかの甘さではなく、とても自然で優しさを感じる奥の深さの伺えるもので、これはいい。
サラサラとした蕎麦湯は熱々で、これをゆっくりと頂くと、なんだか非常に満足した思いを感じてる。
いい店だなぁ~…、としみじみ思いながらお勘定を。お聞きすると蕎麦は外イチ弱ほどのつなぎとのこと。噂通り、打ち場には「目黒武蔵野」伝授と書かれた紙が貼られている。
最後まで笑顔で接して下さる奥様が何よりも気持ちよく、「ありがとうごございました」と丁寧におっしゃって下さるご主人もすこぶる好感。
又、ぜひぜひここは訪れたい。すでに心からそう思ってしまってる…。
ご馳走様でした~
来てみて本当によかった。まだまだ品数は少ないが、それを補うような気持ちのいいお店。今度は「とろろそば」を頼んでみようっと…。
*お品書き
せいろ 700円、おろし、納豆 1,000円、とろろ 1,100円、天せいろ 1,600円、かけ 700円、たぬき 800円、若鶏南蛮 1,000円、カレー南蛮 1,200円、鴨南蛮 1,300円、天ぷら 1,400円、釜揚げうどん 1,000円、鍋焼き 1,800円
焼き味噌 400円、板わさ、鴨スモーク 600円、天たね 1,000円
ビール 600円、お酒(純米きりんざん)500円
「手打蕎麦 いしおか」
目黒区中央町2-35-14
03-5722-1854
11:30~15:00 / 17:00~20:00
火曜定休 店内禁煙
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「いしおか」さん・・
ああ、行きたい(涙)。あの日、雪の中を歩いて向かった時の悲しさを思い出してしまいます。
目黒の「武蔵野」さんは、私も初めて訪れた時に、ご主人に「どちらでご修行を・・?」とお聞きした時に、教えて頂き、いつかそちらにも行ってみたいと思っていたお店です。
読んでいて情景が浮かぶようなお店。私もがんばって歩いて向かってみたいです。
ありがとうございました。
こういう出会いは、たまらないですよね・・・。
しみじみと(゜゜)
ところが運良く昨日チャンスができました。午前中都心で用事があった後、ゆるりとした午後の為に横浜方面の事務所にもどるだけ、という具合のいい昼時、学芸大学前でおりて、調べておいた地図を頼りに向かいました。
歩いたは歩いたは、結構な距離でしたね。膝の痛みを抱える身には辛いが、武蔵野さん試したさで頑張りました。1キロ以上あったようです。昼間は暖かくなった昨日の陽気で、少し汗ばんでしまったくらい。ようやく店に辿り着いてみると、白地に黒々と「手打 武蔵野」とあります。玄関の引き戸を開ける前に、打ち場を正面から覗き込むかっこうに。なかはむかしの農家のひんやりとした土間を思い出させる静かさと涼しさ。数人の先客だけなので、ゆったりとひとりで卓を占拠させてもらいました。
品書きをみると、お蕎麦の見慣れた献立が並んでいます。いずれも筋目正しい昔ながらの品々。奇をてらったようなものはまったくなし。うどんも打たれるのか、何品かありました。ビールと酒があり、肴になるのは板わさとなめこおろしだけ。酒飲みに媚びないのか、この点は師匠も弟子も似ていますかね。汗ばんだ気分なので、ビールと板わさを頼みました。すぐ付き出しに出たのが、茹でもやしの胡麻油和え。家内もよくやってくれる、我が家でも定番もので、嬉しい気持ちに。間もなく板わさが結構な分量現れて、口に入れると噛み心地といいお味といい、大変結構なもの。どうも仕入れに妥協はしておられない様子です。
せいろ。角型のせいろに行儀よく薄く並んだ蕎麦は、しろっぽい更科とも言いたくなる上品さ。数本をそのままくちに運ぶと、なんともやさしさを覚える歯ごたえです。布恒の荒引きが好きという、やぼな人間ですが、こういう打つ人のやさしさを感じる蕎麦も結構。少ないお蕎麦と、空腹で遅くに辿り着いたせいで、ついたぬきも頼んでしまいました。待つことしばし、現れたたぬきは揚げ玉満載というよりも、南蛮葱がたっぷり入った上品な品。もうほてりが冷めて来ていた体に、暖かい出汁がなんとも言えず、少し食べ過ぎとは言え、両方頼んでよかったなあ、と満足しました。
温かい蕎麦が終りに近づくころ、なんと師匠が打ち場にゆっくりとあらわれ、寝かしてあった蕎麦を延ばし始めるではないですか。ご本人の技をじかに見られるとは。食べさせてもらった蕎麦のやさしさを証明するような、あかんぼをあやすみたいなそっとした手つき。ゆっくりと、ほんとうにゆっくりと生地を延ばしていきます。午後は暇、といいながら、それでもゆっくりとしているわけには行かない身の上、短めの最初の麺棒が動き出し始めたところで、残念な思いをこらえて失礼をしました。出口の方のこちらに向かってお辞儀をされる師匠の姿に、こちらこそ、という気持ちで丁寧にご挨拶して引き上げた次第でした。
もう少しどれかの駅から便利ならなあ、と思います。たまにしか行けないでしょうが、タクシーに乗ってでも折々はこの師匠のお蕎麦を拝みたいもの。また、このご老体が育てられた「いしおか」の若いご主人のこれからも、ぜひ見守っていきたいものです。春の気配のし始めた、目黒の蕎麦めぐりでした。
東横線沿線はなかなか充実しているので、私もまだ回りきれていません。
ぜひいい情報お待ちししていますね(^^)
いしおかさんは、ぜひとも又訪れたいお店。次回は、私も若鶏せいろを頂いてみます♪
先週の土曜に昼食を取った「いしおか」も、端正な蕎麦を出してくれますね。若鶏南蛮を食べましたが、わたし好みのいい出汁でした。付き出しに貰った鰊の酢の物は、今度作り方を聞きたいくらい。若い二人の、新しい応援したいお店です。
そのちょっと前に行った、中目黒の「驀仙坊」も大変結構でした。なかなかよく打った、緑がかった玄蕎麦を出してくれます。せいろのお替りがあるのはいい工夫ですね。花番の女性が丁度手が込んでいたと見えて、お替りのせいろは白い作務衣を着た若い女性が持ってきてくれました。「いい蕎麦だよ」と声をかけると、嬉しそうににっこりしてる顔が感じがいい。あの娘さんも蕎麦打ちを修行中かな?
そんな訳で、このところすっかり東横線づいています。
昨夏から毎土曜青山へ出かけて、カルチャーセンターでお勉強を始めました。一時半にクラスがあるので、以前はだいたい青山ツインタワービル地下の「くろ麦」でひるを食べていました。あの店の一茶庵流の味に飽きたわけではないのだけれど、折角いい蕎麦屋さんの並ぶ東横線目黒区沿線を毎週通るのだから、そちらのお店たちも開拓しようと考えた次第。「夢呆」の再訪も含めて、学大前や祐天寺、中目黒、自由が丘のお店を順々に探検したいと思います。授業の前のお昼なので、きちんと酒肴を味わえないのが難点です。まあ、目星をつけておいて後日夜に伺う、ということにしましょう。そのうちに、気分が乗って出来上がり、クラスはすっぽかす、なんてことになるかもしれませんが。もしなにか面白い発見があったら、こちらでご報告をします。
読んでいて、すっごくうれしくなってしまいました。
そうそう、ここ、いいでしょ~~♪
あのサービスで、お料理頼まなくてもすっかり昼酒を満喫してしまいますよね。
ここ、一発で大好きになってしまったお店。
ああ・・、みんちょる様のコメント読んでると、いろんな所にすぐに行きたくなってしまいます~
そうだったのですか・・、それで結構このあたりのお店が書かれているんですね(^^)
卯月さんもよかったけど、こちら本当に気に入ってしまいました。女将さんの接客、なんとも心地いい店内。
新そばは、又楽しみです♪
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