六本木交差点に向かう理由がなくなってしまったので、今日はちょっと足を伸ばしてまだ伺っていない「たじま」さんまで、てくてくお散歩。
日テレ通り沿いを歩いていると、旗が閃く真っ白な外観のお店が目に留まり向かうと、何やら・・・、様子がおかしい。(嫌なよ・か・ん・・・


と、入り口まで近づくと、チェーンが引かれ・・・
あああ~

ここまで歩いて来たというのに、
なんとっ、
臨時休業・・・。
一瞬途方に暮れ呆然としてしまったが、気を取り直し、だったら・・、千利庵に行ってみようか、と外苑通りを再び上って行くことに。雲行き不安な中、高速道路の高架下に、何とも風情ある、い~い感じのお店に心時めく


知ってはいながら、まだ訪れていなかったお店は、思っていたよりもずっと趣きある佇まい。
ちらほらと雨が落ちて来たのも、ちょうどいいタイミング。
西麻布 「手打そば 千利庵」
外からも見られる打ち場の横の、年季の込められた木の扉を引くと、しっとりとした老舗の情緒たっぷりの店内。テーブル席が3つに、小上がりの席3卓のみの、質素で清潔感のある江戸風情。本むら庵のない今、この空気はとてもうれしく感じてしまう。
ほぼ満席状態で、ちょっと入り口で待たせてもらい、すぐ帰られたお客さんと入れ替わりにテーブル席に通される。
すぐにお茶とお絞りを出して頂き、品書きを開くと、和紙に丁寧に書かれた味わいある一枚一枚。捲りながら目を通すのも楽しい。
同時に周りを見渡すと、壁には美味しそうなお料理の数々が書かれた半紙が張られている。が、ちょっとお高め・・・。また歩かなくちゃならないし、今日はお蕎麦だけを頂こう・・・と、品書きに改めて目を落としていると、何やらお客さんがちょっと賑かたつ。
ん?何々っ?と、顔を上げると、扉の中からでも分かる程の、激しい雨が打ちつけている・・・ こ、これは、今外に出るのはマズイかも・・・、と急遽変更して、雨宿りしつつゆっくりすることに。
これも壁に張られている中から、「八海山」を選び、女将さんにお願いすると、「冷で大丈夫?」と、やさしく受けて下さる。
お酒はガラスの徳利に猪口で。
なんだか妙に美味しく感じる、雨の昼酒。
見ていると、雨を危惧しながらも、それを逆に楽しむかのように、もう一本・・・と頼む方や、「じゃあ、ぜんざいも・・」と頼むお客さん。これは、ゆっくり雨の行方を待つことにしよう~・・という、不思議なムードに包まれ、なんだかひどく楽しい気分。
さて、私も何か・・・。
壁の品書きの、「明太いわし」や、「〆さば」が気になるなあ、などと思っていると、後ろのお客さんがいくつかの天ぷらを頼んでいるのを聞いたら、途端に何か天ぷらが食べたくなってきてしまう。しかも、天ぷらの種類がとても豊富で、「トマトの天ぷら」や「百合根の天ぷら」まで。トマトと迷ったが(食べにくいかも・・・と)百合根の天ぷらをお願いする。
程なくして、とても感じのいいご主人が、「この塩でね」と、天ぷらを運んで下さる。
ハラリハラリと剥がして揚げられた百合根の天ぷらは、見るから美味しそう。ひとつほおばると、どこまでもからっっと揚げられた天ぷらで、非常に旨い
敷き紙に油の全く残らない天ぷらで、周りのカラリとした衣に、中はほっこりホコホコ。百合根独特の感触に、甘みが程よくこれはいい。成るほど・・・、これはいろんな天ぷらも食べてみたいなあ。
雨の様子を伺いながら、ゆっくりと頂く不思議なひと時。
そろそろお蕎麦を頂こう~。
ここでは、絶対食べてみたいと思っていた「天下ごめん」。そばは「せいろ」と太打ちの「田舎」、それにうどんも選べるらしい中から、「せいろ」でお願いする。
まずは、薬味の生姜、葱、大根おろしが出され、「この生姜を入れて食べると美味しいよ。あと、七味もいいよ」とおっしゃりながら、やや遅れて「天下ごめん」が置かれる。
(なぜ、天下ごめん、なのかしらん~・・・)
蕎麦は、エッジの立つ、きれいに整った細切りの蕎麦。まずは口に含むと、きりっと冷水にさらされ、つるりとした表面が気持ちいい。かみ締めると、こりこりっとしたようなしっかりとした腰。香り風味は穏やかではあるが、のど越しもよく気持ちのいい蕎麦。
そして、食べてみたかった「天下ごめん汁」。ほっかほかに湯気の立つ汁を、まずはちょっと飲んでみると、これが美味しい~っ。
掬って具を頂くと、なんとこれは鴨汁で、細切りの鴨肉に、ごぼう、ネギ、ズッキーニなどが刻まれふんだんに入っている。
熱々の汁にこの蕎麦がよく絡み、「お変わり付」にすればよかったかも・・と、思うほどするすると喉に入っていく。時折、青唐辛子の辛味がぴりりと来るのが、又良くて、これは・・、確かに「天下ごめん」だ、などと思ってしまう。
頃合い見て出された蕎麦湯は、ナチュラルに白濁した熱々のもの。この汁に注ぎいれすっかり飲み干してしまう。千切りの鴨肉も、それぞれの野菜も本当に美味しく、すっかり大満足~。今度は、太打ちの田舎ででも、これを食べてみたいなぁ。
外を伺うと、何とか雨も弱くなりつつある模様。
「バスに乗った方がいいわよ~」などとアドバイスされながら、お勘定を。
気さくで親しみやすい女将さんや、ご主人のもてなしがあったかく、ここもいいお店だなぁ。(もちょっと駅から近ければ・・・)と、すっかり気に入ってしまった。
何はともあれ、思いがけず寛いだ雨のもたらした、午後のひと時。
ご馳走さまでした~。
帰りは、バスに揺られて、うつらうつらと~・・・
*お品書き
もりそば(せいろ、田舎)630円、二色 1,155円、つけとろ 1,155円、天付もり 1,890円、天ぷらそば 1,890円、あられ 1,680円、花巻 1,050円、山かけ 1,365円、天下ごめん 1,050円、月心 1,050円、鴨南 1,365円、千利鴨南 2,100円、
白菜の漬物 530円、いわし明太 600円、〆さば 1,050円、小鯛のささづけ 1,050円、ほたるいか酢みそ 630円、穴子の天ぷら 1,890円、野菜の天ぷら 1,890円、いかの天ぷら 1,050円、トマトの天ぷら 840円、百合根の天ぷら 840円
八山海、久保田など840円~
「手打そば 千利庵」
港区西麻布2-25-19
03-3400-1782
11:30~14:30 / 17:00~21:00
水曜定休(第1水曜は営業)
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ご無沙汰しておりました・・・。
>千利庵のうどん
そ、そうだったんですか・・・。やっぱり、と蕎麦で頂いてしまったのですが、うどんも興味沸いてきてしまいます。
あの天下ごめん汁は、いいですね(^^)。
Isatoさん・・、又お伺いしたいと思っているところです。ご主人、よろしくお伝え下さい。
青木様とも、又お会いできたら、などと思ってます。
「千利庵」は小麦の香りを噛み締めれる細打ちのウドンが美味しいんですよ。
これが「天下ごめん」のつけ汁に良く合うんです。
最近は東京ではあまり食べる機械が無く、蕎麦は地元ばかりで楽しんでます・・・芭蕉庵や初音庵やら、たまにIsatoさんやらです
でもでも、同じ落胆を感じてもらえたのが、なんだかちょっと救われる気持ちです・・。
私は・・
1時ちょっと前に着いたので、そうですね♪
営業していたら、きっとお会いできたのかも・・・。
私もちょっと、「暁庵」「さ和長」など、広尾に行くことも頭に浮かんだのですが、こっちに来てみました。
いや~、天下ごめん、美味しかった♪
あの風情も、心地よく、これはこれでいいひと時になりました・・・。
テクテク歩いてきたのにチェーンが・・・。ガーン!で仕方がないので広尾の箱根暁庵とも思いしや、「くろさわ」にもどりました。「たじま」さんが開いていたら、yukaさんにあえたのかも・・・。11:50分頃入店予定でした・・・。
でyukaさんは「千利庵」 へ。想像しなかった・・。私もここの天下ごめん汁と百合根の天ぷらは大好きで、訪れると注文してしまうメニュー。好みが一緒てすー。美味しいですよね。
好みが合うyukaさんに今回は会えず残念
。次回どこかでお会いできるかなぁ?
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